2011年3月2日水曜日

文学メモ 有頂天家族。

狸界にてその名を轟かせていたもののある日人間達が行うかの恐ろしい金曜倶楽部で狸鍋にされて食べられてしまった父・総次郎。 
宝塚に夢中、美男子に化けビリヤード場で遊びに興じるものの苦手な雷がなればすぐに尻尾を出してしまう母。 
父の跡を継ごうと意気込むもののなぜだか空回りの多いまじめな長男・矢一郎。 
父の死をきっかけにもう息をするのも面倒くさい、と言って蛙になり、そのまま狸に戻れなくなってしまい井戸の下で人々、狸達の相談、愚痴を聞く次男・矢二郎。
恋にうつつを抜かし落ちぶれた天狗の面倒を見つつ、面白きことは良きこと なり!といいながら、面白く生きることに関しては誰よりも秀でた三男・矢三朗。
充電ができるようになったもののちょっとしたことで恐れおののき化けの皮を剥がしてしまう4男・矢四朗。

こんなちょっとへなちょこ家族が、一族の誇りをかけて宿敵夷川家が仕掛けてくる意地悪と戦いつつ、人間、天狗達にもまれながら奮闘する様子を描いた物語。 亡き父の元に硬く結束された家族は再び平和を取り戻すことができるのか。




友人がイタリアに来たときにお勧めと言って持ってきてくれた本に、森見登見彦さんの ’ 有頂天家族’ があります。

これをやっと手にしここ数日で読み終えたのですが、それは私のこの数日間をとても幸せな気分にしてくれる読書でした。
なぜって、全くもって狸の世界に浸っていたから。
狸の世界、そんなことは考えたことはなかったけれど、森見さんが描くその世界は滑稽で、でもとてもキラキラしていてユーモアが溢れ、悲しみも喜びも人間と同じ。 

読み終わったときになぜだか、大分昔に浅田次郎さんのプリズンホテルを読んだときの心がフワッと温かくなる感覚を思い出しました。

笑いあり、悲しみあり、でも最後には、’ 阿呆の血のしからしむるところだ ’ とまた狸が笑い飛ばしてくれる。


読み終わり、もう終わってしまったのか、と一抹の寂しさを感じるものの、どうやら友人によると年内にまた続編が出るという話なのでこれは絶対読むしかない狸シリーズ。


狸が大好きになりました。

ちょっとした文学メモでした。


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2 件のコメント:

かな さんのコメント...

もしかしてY氏のおすすめ?!
私も読んだよー
なんだかあったかい気持ちになるよねぇ♪
そして赤玉ポートワインが飲みたくなる(笑)

hitto さんのコメント...

>かなちゃん
コメントありがとう!
あたり~! さすがかなちゃん!
かなちゃんも読んだんだね。
そうそう、何だか気づいたら狸世界に引きづりこまれ、終わったら心がほっこりしてた、といった感じでした(笑)
赤玉ポートワイン飲んでみたいね~。